アメリカ駐在で私が学んだ10個のこと

アメリカ駐在員の心得

これからアメリカに駐在する人、アメリカで働く上で文化の違いを知っておきたい人、

アメリカと日本では仕事の進め方が違うって聞いたけどほんと?

こういった疑問に答えます。

こんにちは。
アリゾナ駐在員のSaguaroです。

アメリカに駐在するなら、是非知っておいて欲しいことがあります。それは仕事の進め方の違いです。実際に、駐在して感じた日本とアメリカの違いと、そのときの対処法について紹介します。

まずは、2つの文化の違いを紹介します。

アメリカ人的モノクロニック文化(Mono-chronic)

モノクロニック文化とは、

物事をバラバラの項目にわけ、一度に1つのことだけに集中する。時間の正確性、測定、定量化を重視し、時間内にできること、できないことを区別し、優先順位をつける。

文化のことです。

具体的に直面した特徴ですが、

一度に1つの課題に取り組み、それに集中する
約束の時間や期日に厳格である
計画を立て、それを守ることに執着する
個人の職務責任は明確に定められている
個人が情報の保持を行い必要に応じて同僚に伝える
短期的関係に慣れている
公私の人間関係をはっきり区別する
個人所有を尊重する。貸し借りはほとんどしない
伝える文化、情報を必要とする
グループで飲むとき、個別に注文し各自がグラスに注ぐ

こういったことが特徴として挙げられます。日本人にも当てはまることもあると思いますが、おおまかな特徴と思ってください。ドイツ人などもこの傾向が強いでしょう。

一方で、日本人的文化の特徴として、ポリクロニック文化というものがあります。

日本人的ポリクロニック文化(poly-chronic)

ポリクロニック文化とは、

同時に多くのことを行い、計画や時間に固執するより人間関係を大切にし、周囲の人々や状況に応じて柔軟に対応する。中断に対しても柔軟で、相互交流に力点をおく。

文化のことです。

すでに思い当たる人も多いと思いますが、具体的な特徴としては、

同時に多くのことを行い、中断に対して柔軟である
時間や期日は絶対的なものでなく、一つの目安である
計画や状況によってたびたび、かつ、簡単に変える
他者と相互依存の関係で、物心両面で助け合う
情報は個人に滞留せず、皆に共有される
生涯をかけた関係を結びたがる
仕事とプラベートの境界線があいまいである
注意されてもよく耐える
察する文化、情報の蓄えがある
グループで飲むとき、大瓶で注文し、互いに注ぎ合う

こういった特徴があります。こちらも全員に当てはまるわけではありませんが、日本人は思い当たるのではないでしょうか?

では、お互い文化が違うので納得できないこともあるなかで、私が実際に直面した問題とその解決方法を紹介します。

私が直面した課題とその解決方法

問題点1:仕事の指示

同時にたくさんの仕事を指示をする
一つの仕事に集中したい
あれもこれも頼んではいけません。同時にたくさんの仕事はできません。もしたくさんの仕事を依頼する場合は、優先順位をつけ、1個ずつ終わらせるような指示をしましょう。その代わり、部下は1つの仕事に集中することで、かならず最高のパフォーマンスで仕事をしてくれます。
優先順位を決めて、取捨選択をしましょう

問題点2:会議の時間

前の会議が長引き、次の会議に遅れた
会議の遅れは時間のムダと不快に思っている
会議が予定より長引き、次の会議に遅れてしまう。こういったことは日本では普通にあります。しかしながら、アメリカ社会では、それは時間を奪っている不快な相手ととらえられてしまいます。また、会議が長引くだけでも、ムダな時間と考えますので、仕方がないで終わらせるのではなく、かならず時間通りに終わるようにしましょう。
前の会議を中座する、もしくは次の会議の時間を再設定しよう

問題点3:部下に質問する

部下に聞きたいことがあるので部屋に呼びたい
部下は邪魔されることを嫌っています
もし部下に聞きたいことがある場合、突然部屋に呼び出してはいけません。仕事の邪魔されることを極端に嫌います。自分のペースで仕事をさせてあげてください。日本では上司に呼び出されると、どんな場合でも行かなければいけませんが、アメリカ人はそれを受け入れません。もし、聞きたいことがある場合は、予定を確認してからにしましょう。
相手の都合を確かめたあとで呼ぶ

問題点4:情報管理の共用

情報は全体で管理し共有すべきと考えている
情報は各自が管理し、必要に応じて伝える
個人が把握している情報は、すべて会社のものですので、全体で共有しなければいけません。という考えはアメリカでは通じません。それぞれ持っている情報は各自で管理し、必要に応じて上司にも伝えられます。
このため、上司はあくまでも部下に任せ、気になることだけを部下に聞くスタンスに徹しましょう。ただ、そう入っても、情報は全体で共有したい思いもあります。その場合は、情報が共有できる仕組みを作ることをおすすめします。
情報共有化のシステム作り、共有できる「場」を設ける

問題点5:仕事の範囲

仕事はお互いが協力して進めるべきだ
自分の職務、責務は明確にしてもらいたい
仕事が遅れている場合は、上司からの指示がなくても、お互いフォローして完了すべきだ。という考えはアメリカで適しません。もしフォローすべきなら、その仕事の責任の範囲を明確にしてあげる必要があります。データ整理まで担当する。最後の結論まで出す。など、自分はどこまですればいいのかはっきりしないと不満が出ます。
互いが協力し合う職場つくり、承認・評価する

問題点6:仕事の遅れ

予定より進行が遅れ、計画通りに完成しない
自分はベストでやっているので遅れは自分のせいではない
仕事の遅れは上司の責任です。部下はベストを尽くして仕事をしています。高い給料をもらっているのだから、管理はきちんとしてほしい。というのが部下の本音です。この場合、追加の予算や人員など、何が必要か確認し、計画を見直しも含め、改善する責任が上司にはあります。
追加のマンパワー投入、計画の見直し

問題点7:公私混同

たまには食事でもしながら親しくなりたい
仕事以外で上司と付き合う必要はない
部下との人間関係を良くするために、一緒に食事でもしながら、、と言った行為はもってのほかです。部下は仕事以外で上司と付き合う必要はないと考えており、公私混同するような行為はいけません。
もし、親しくなりたいなら、仕事の中でお互いを尊重し合えば、おのずと信頼関係は気づくことができます。もし難しければ、懇親の場を正式にもつようにすれば部下も納得します。
公私の区別ははっきり「懇親の場」を設ける

問題点8:仕事を手伝ってあげて

同僚が忙しいときにも手伝ってやらない
自分の仕事は終わったので帰宅する
上司からみれば、職場の同僚が忙しければ、ちょっと手伝ってあげて欲しいものです。ただ、いくら忙しくても自分の仕事が終われば帰ってしまうのがアメリカです。部下からすれば、仕事を割り振っているのは上司なのですから、同僚が忙しいのは上司の責任です。
この場合、仕事を割り振るなどして、忙しい人の負担を減らすことを検討しなければいけませんが、もし仕事を部下に割り振るなら、その場限りの対応ではなく、きちんと仕事の範囲を伝え、終われば、評価をするようにしてあげてください。
職務分担、責任を尊重する、承認、評価を考慮する

問題点9:時間の管理

お客とのアポ時間には早めに行くが業者には待たせる
約束時間に対する基準が理解できない
日本では、客と業者で態度が異なることが多々あります。打ち合わせの時間で言えば、客とのアポ時間は絶対に遅れていはいけないが、業者は待たせておけばいい。こういった感覚でいる日本人がいまだに多いです。アメリカ人からすれば、相手によらず、自身の時間をムダにしているのですから、これほど失礼な話しはありません。そういった態度も部下も見ていますので、相手によって、時間の基準を変えないようにしましょう。
相手によって時間厳守の基準を変えない

問題点10:部下の転職

能力が高いので熱心に育てたが、退社したいと言う
特に不満は無いが自分の将来を考え転職したい
近年はだいぶ変わってきましたが、それでも日本では一旦会社に入ると定年まで働く人が多いです。この認識で部下を育てていると、突然、部下が転職してしまった。ということはアメリカ社会では普通にありえます。
しかしながら、これが当然の文化であり、部下は自身の将来を見据えて転職を検討しています。せっかく育てた部下が会社を去らないように、自分自身で魅力ある会社、職場を作っていくしかありません。それが結局会社の成長に繋がります。
魅力ある会社、職場つくりを目指す
以上、いかがでしたでしょうか?
アメリカのモノクロニック文化、日本のポリクロニック文化の両方を学ぶ人は少ないです。この両方の文化を知っている強みを活かし、長期、短期の関係、時間間隔、計画と状況変化、情報の共有化、個人とチーム、職務の範囲と責任など、相手の文化と調和を創意工夫し、アメリカでも日本と同じように仕事をバリバリしてください。

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